【化粧品OEM】独自技術や素材・処方開発で競合に差異化

週刊粧業 2013年9月2日号 1ページ

【化粧品OEM】独自技術や素材・処方開発で競合に差異化

 秋の気配にさきがけて送る本紙の看板企画として、週刊粧業は本年も「化粧品OEM特集」に取り組んだ。

 製販一体型を売り物にするメーカーや本舗を除けば、経産省が調査・発表している化粧品出荷統計と同等かそれ以上に、OEM各社の動向はマーケットを知るうえで重要な指標ということができる。

 今回、取材の協力を得た全35社の取り組みを総括すると、概ねで専門性の深堀に注力している傾向がわかる。

 「当社にしかできない」を独自の技術や素材背景のほか製造キャパシティーに求め、競合に差異化したい狙いが鮮明になっている。

 これは言い換えると、購入者の満足を引き出したい店頭やWebサイトの要求が多様化していると見ることができ、勝ち残りを懸ける受託製造各社の対応力が高まることにつながっている。

矢野経済の市場規模予測は
各有力企業の業績と呼応見え

 シンクタンクの矢野経済研究所(東京)はさきごろ、「化粧品受託製造市場に関する調査結果2013」を発表した(既報)。実施の端緒として、同市場が注目に値する活況の領域であることがわかる。

 これによると、2012年度の化粧品受託製造業の市場規模は2085億円(事業者売上高ベース)で対前年比103.7%となっており、シュリンクが進む市場の購買力に反しOEM事業者の業績が伸びた格好となっている。

 こうした状況は一過性ではなく、OEM業界の売上総和は2008年以降の4カ年で12.9%の伸びを示したことを同調査は明らかにしている。

 また、矢野経済研究所は今年度もこうした勢いが失速する見通しはなく、2013年度の予測として同数値が対前年比102.6%増の2140億円になるという調査結果を発表している。

 取材の中で業績について触れている企業の進捗を見ると、矢野経済研究所の主張は的を射ていることがわかる。

 最大手の日本コルマーは2013年3月期の売上高を前期比11.5%増の223億円とし、アリエは2013年1月期に創業以来初となる売上高100億円到達を果たしたほか、企業力を買われ容器製造大手の傘下入りしたコスメサイエンスも前期の売上高を38%増に引き上げた。

積極投資による設備増強で
顧客の多彩な要望をカバー

 また、好調な業績推移は積極的な設備投資へと反映し、生産体制を増強することで顧客企業の要望にワンランク上のレベルで応えようと目指す動きが活発化している。

 受注の増加を受けて今夏にタイ工場を増築したエフシー中央薬理研究所は、ハードの強化とともにマンパワーを高める施策に注力した。

 さらに、古参の日本色材工業研究所は長らく腐心していた生産キャパシティーの向上に道筋をつけ、先端の大型新工場の稼働を来春に控えている。

 海外を絡めた設備増進という視点では、近代化学が将来にかけて本社工場とスリランカ工場の設備投資を織り込んでいるほか、トキワは2012年までに中国の生産拠点を整備してグローバル化に先鞭をつけていた。

 化粧品ビジネスを一種のアイデア産業として捉えた場合、受託製造企業は自社ならではの独自性を高めてメーカーの多彩なニーズに対応したい構えが強く見える。

 成長株のサティス製薬は他社にないプロジェクト「30億×100社」を掲げ、メーカーの販促まで踏み込んだ支援体制でOEMの枠組みを越えた事業体制を敷いている。

 また、東洋新薬は前面に打ち出す新しい加工技術「三相乳化」の可能性探索を進める中、従来型な化粧品の発想を打ち破る斬新なアイデアで顧客の評価を高めることに成功している。

 さらに、シーエスラボは開発テーマに「スゴいシリーズ」と銘打って独自のテクスチャーを実現した「クリーミィローション」を展開し、呼称とたがわないユニーク商材で引き合いを集めている。

 このほか、対応できる企業が少ない透明石鹸のジャンルでナユタが保湿成分を40%含むという商材を打ち出し、大量生産が難しい希少アイテムで市場開拓を狙っている。

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