入浴剤メーカーのバスクリン(本社=東京)が展開している日本の名湯ブランドは、「お風呂をあの名湯に」をコンセプトに、1986年の発売から15温泉地の入浴剤を展開してきた。
商品開発では、各温泉地の協力のもと、厳選した温泉地の湯質・成分、ロケーションを徹底分析・調査し、本物志向の品質を追求。温泉の効能(有効成分)や湯ざわり、色、香りなど様々な要素を組み合わせ、各温泉地ならではの特徴を見出している。そのこだわりは発売から30年近く経つ今も変わらない。
2009年秋からは各温泉関連団体との「共同企画マーク」をつけ、本格派の温泉入浴剤としての認知拡大を図りながら、地域活性化支援にも取り組んでいる。
「日本独自の文化であるお風呂と温泉は切っても切れない存在であり、『日本の名湯』がその架け橋になればという思いがある。本物の温泉(地)には敵わないが、それに限りなく近づけることを目指している」(高木崇製品開発部ヘルスケア企画課長)
高木氏が「イメージだけ訴求する温泉入浴剤が多い中、こんなに開発費をかけていいのかなと思うこともある」と語るように、法人ギフトが浸透していた90年代に比べると収益面でやや厳しい状況にある。
しかしながら、近年好調の炭酸入浴剤「きき湯」は、日本の名湯で培った様々な研究データをベースに九州の長湯温泉からヒントを得て開発され、今や同社の看板ブランドに育っている。
9月9日には16番目の温泉地として「熱海(静岡)」を発売した。
同社が徹底調査の末、たどり着いた熱海は「海も山も望める首都圏から身近な温泉リゾート」だ。香りは、爽やかな海と山々の新鮮な果実や花の香りをイメージして調合。湯色は、熱い湯と美しい花々、海上花火を想起させる赤橙色を採用している。
また、熱海市観光協会が卸元となり、土産用として販売する「ご当地限定商品」(5包セット)も開発。地元のデザイナーと画家がデザインしたオリジナルパッケージで、熱海市内の旅館やホテル、物産店協会などに並ぶ。
この記事は週刊粧業 掲載
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