郭社長、強い決意と構想示す
会見の冒頭、自己紹介の格好で挨拶した太和生技グループ取締役社長の郭靖凱氏は、「37年間、全世界のトップブランドのメークアップOEMをやってきた強みがある。凄く信頼されている」と述べて威信を示した一方、開催地を評して「沖縄はとても美しい島。有名な旅行地でもある」と称え、そこに根を張るポイントピュールについて「とても有力な企業。戦略パートナーとなっていける」と力強く語った。
さらに、ほぼ会見の主役だった郭氏は、「当社の先端技術と経験をポイントピュールに移していきたい。メークアップと基礎化粧品で強みを融合して全世界に出て行く」とグローバルな商圏を見渡していると述べた一方、日本に新会社を作るからには「日本のトップブランドのOEM/ODMもやっていく」と意気軒昂に語った。
一方で、この日は太和生技の郭社長に花を持たせるように一歩下がった印象だったポイントピュールの大道敦社長は、本調印式の端緒に触れ「沖縄県商工労働部のアジア経済戦略の仲人によって、このような合併ができた。沖縄発のメイドインジャパンを国内外に発信していきたい」と述べて地元への愛着を前面に出し、「2001年に創業して16年間が過ぎた。第2の挑戦に入っていく」と語って口元を引き締めた。
太和生技グループとの協調へ踏み出した最大の決め手は、ビジネス志向よりも郭社長の人柄に惚れたからだという。
総投資額は段階を踏んで300万米ドルとし、太和生技グループの出資比率が51%となることが決定している。
当初は沖縄市の北部に位置するうるま市の賃貸物件から立ち上げ、時期を見て用地を取得して自前の工場を建設し、県人の雇用を創出する。このほか、社名の考案をはじめ会社設立のスケジュールや詳細は「年末までに完成させる」(郭社長)という。
現段階で見込む新会社の売上規模は「最初の2年間の売上目標は1000万米ドルを下回らないように頑張る」(同)というもので、軌道に乗せて「2018年からは本格的な生産が始まり出荷もする」と掲げる中、業績の地域別内訳は「60%以上は北米とヨーロッパを予定している。残り40%は日本の有名ブランドのために頑張る」と輸出で外貨を稼ぐ構えを鮮明にしている。
また、郭社長は投資ではなく新会社設立という形を決断した日本進出に際し、沖縄以外の選択肢も「いろいろな地域で調査をしてきた」ことを明らかにしている。
そのうえで、同社長は決め手について「税制やハブ化など県が優遇政策を設けている」と環境要因を挙げたほか、隣の大道社長を見やって「パートナー選びでは人柄を重視してきた」と経営方針を示した場面では、県商工労働部アジア経済戦略課課長の仲栄眞均氏が「化粧品は高付加価値でハブ活用ができる製造業。非常に期待している。支援する」と力強いエールで応えた。