ポーラ、「がらくた」と考えられていたジャンクDNA領域に宝

訪販ジャーナル 2020年7月13日号 8ページ

カンタンに言うと

  • 肌の線維芽細胞を活性化、影響は細胞分裂後や細胞間ネットワークにまで波及
ポーラ、「がらくた」と考えられていたジャンクDNA領域に宝
 ポーラ・オルビスグループの研究・開発・生産を担うポーラ化成工業は、ジャンクと呼ばれるDNA領域から作られるRNAの1つについて、「線維芽細胞において、今回着目したRNAを増やすと細胞の活性が高まること」「その影響は分裂して新たに生まれた次世代の細胞や周囲の細胞にまで及ぶこと」「セージエキスとセンニンコク種子エキスに、今回着目したRNAを増やす作用があること」の3点を明らかにした。

 同研究で着目したRNAは、ジャンク領域から作られるため、タンパク質に翻訳されず特に役割を持たないと考えられていたが、皮膚にとって重要な働きを持っていることがわかった。

 今回の発見を活用することで、これから生まれる細胞や、周辺組織の活性までも向上できると考えられる。この知見は今後、ポーラ・オルビスグループの商品やサービスに活用される。

 同社は近年、「がらくた」と考えられていたDNA領域(ジャンクDNA領域)から作られるRNAの中に、皮膚の線維芽細胞において重要な役割を果たすものを探索してきた。その結果、「LINC00942」と呼ばれるRNAが、実は細胞が老化してしまうのを抑制しており、そのRNAは年齢とともに減少してしまうことを見出した。このRNAについて研究を進めたところ、今回、他にも重要な働きを担うことや、その影響が他の細胞にまでさまざまに波及していることがわかってきた。

 まず、線維芽細胞でこのRNAの発現量を一時的に増加させると、細胞活性の指標となるエネルギー産生が1.4倍にまで増加していた。さらに、その細胞から分裂し新たに生まれた細胞では、このRNAの発現を高めていないにも関わらず、エネルギー産生が1.2倍に促進されていることが判明した。このことから、このRNAは、細胞の世代を超えて影響を及ぼす、重要な因子であると考えられる。

 次に、このRNAの発現量を変化させておいた線維芽細胞を他の細胞と一緒に培養することで、周囲へ及ぼす影響も検証した。他の線維芽細胞、血管内皮細胞、脂肪細胞への影響を調べたところ、このRNAの発現量が多い線維芽細胞と一緒に培養した場合は、それぞれの細胞の機能が高いことがわかった。このことから、このRNAは、周囲の細胞の活性にまで影響を与えることで、肌全体の状態を制御できると期待される。

 このRNAの発現量を高めるエキスを探索したところ、センニンコク種子エキスとセージエキスを組み合わせたものに高い効果を見出した。これらのエキスにより、現在も未来も、肌全体をいきいきと維持することが期待できるという。
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