ロート製薬は、愛媛大学大学院医学系研究科皮膚科学との共同研究により、超低分子ヒアルロン酸(HA4)が、紫外線ダメージを受けた表皮細胞が分泌する物質(DAMPs)による表皮への影響を軽減することを明らかにした。
なお、同研究内容は2020 SID Annual Meeting Virtual Conference(2020年6月13日~16日、オンラインにて開催)で発表している。
今回の発見から、紫外線ダメージを受けた肌に対する効果はもちろん、外部刺激や加齢など、様々な要因で起こる自然免疫受容体(TLR)を介した微弱な炎症に対しても、HA4が有用である可能性が考えられる。
また、HA4による日常的なケアにより、健康な肌を維持することが期待されることから、多種多様なヒアルロン酸の機能性研究を続け、美と健康の増進に貢献していく。
これまでヒアルロン酸は化粧品を中心に配合されており、高い保湿作用があることが知られている一方で、近年生体内では様々な大きさ(分子量)のヒアルロン酸が存在し、それらが細胞に働きかけることで皮膚の恒常性を維持していることが明らかにされている。
皮膚は日常的に紫外線を始めとする外部刺激に晒されており、その影響を軽減させることが健常な皮膚を保つためには重要だと考えられる。
今回の研究では、紫外線ダメージを受けた表皮細胞が分泌するDAMPsの1種であるCalprotectinがTLRを介して皮膚に与える影響に着目した。
紫外線を照射した表皮角化細胞を用いた手法により、DAMPsの1種であるCalprotectinの分泌が濃度依存的に亢進することがわかった。また、Calprotectin添加により、表皮角化細胞は炎症性サイトカインIL-6の分泌を亢進することがわかり、HA4はその作用を濃度依存的に抑制することがわかった。さらに、これまでの知見から、Calprotectinによって引き起こされる炎症を抑制する作用機序としてTLRの関与が考えられたため、TLRを介した炎症に寄与する細胞内シグナル経路に着目して検討を行ったところ、TRAF6タンパク質の量を濃度依存的に抑制することが示された。
この研究成果により、紫外線ダメージを受けた肌に対してHA4を適用することで、その後に起こる赤みなど炎症につながるシグナルをブロックすることが示唆された。また、今回の発見から、外部刺激や加齢など、様々な要因で起こるTLRを介した微弱な炎症に対しても、HA4が有用である可能性が考えられる。