コーセー、量子コンピューターで化粧品創造のアルゴリズム開発

粧業日報 2021年1月13日号 2ページ

コーセー、量子コンピューターで化粧品創造のアルゴリズム開発
 コーセーは、blueqat(旧MDR)と共同で、ハイブリッド量子コンピューティング技術を応用して化粧品の製品特徴の分布を解析する独自のアルゴリズムを開発し、特許出願を行った。

 これは、製品特徴のポジショニングを、これまで一般的であった2次元マッピングではなく、多次元空間で捉えて解析する手法で、この技術によって、既存の領域を可視化すると同時に、未知の製品領域が明らかになり、人間が思いもよらなかった新しい化粧品設計への可能性を拓くことができるという。

 化粧品の新製品開発においては、ブランドや製品のポジショニングマップを作り、既存製品の官能など品質の位置関係を可視化して着想を得ることが一般的に行われている。



 人間は平面での広がりを最も効率よく認識できることから、ポジショニングマップは平面図(2次元)で作成することが多く、既存製品を分布させると、既存品が多く存在する「実現性の高い」領域と、既存品が少ない「新規性の高い」領域が可視化される。

 しかし、化粧品開発で考慮すべき製品特徴は「しっとり」や「さらさら」といった官能項目に加えて、「処方報」「効果効能」、SPF値のような「スペック」から粘度のような「物理特性」まで非常に多岐にわたるため、これらを複合的に考慮するためには多次元のポジショニングマップ作成が必要となる。

 これは複数の図を同時に解析するようなものであるため、現実的には人間が認識できる範囲を超えており、熟練研究者のバランス感覚に頼っているのが現状だった。

 また、コンピューターによる統計的手法を用いることで多次元のポジショニングマップ解析は可能であるものの、解析対象の軸を増やすほど計算時間がかかるため、従来コンピューターのみで実運用することは困難だった。



 今回、コーセーはblueqat社とハイブリッド量子コンピューティング技術を応用した独自のアルゴリズムを共同開発することに成功した。

 これは多次元空間において既存品が多く存在する「実現性の高い」領域と、既存品の少ない「新規性の高い」領域を探索するための手法であり、量子コンピューティング技術の応用により、これまで困難であった多次元での製品ポジショニングマップの解析を可能にした。

 この方法を用いて、人間の力だけでは発想に至らなかった新ジャンルの化粧品のヒントが期待できる。

 今後は、同技術を応用し、新しい美の価値、未知の驚き、ワクワクする化粧品を提供することを目指していく。また、既存の価値観や技術分野に捉われない、新しい顧客価値に向けてより一層積極的に取り組んでいく。
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