原料商社大手の岩瀬コスファは、機能性表示食品の開発や九州事業所でのきくらげ栽培をはじめとした、健康分野の取り組みを加速させている。また、サステナブルニーズに対応するアップサイクルの提案や、働きやすい環境づくりにも力を注いでいる。
現況と今後について、岩瀬由典社長に話を伺った。
――2022年はどのような1年でしたか。
岩瀬 各種コスト高騰や納期の長期化、円安など様々な要因が絡み合って、化粧品業界としては苦労した1年だったように思う。
そうした状況の中で、当社では、原料メーカーと密なコミュニケーションを取り、いち早く情報を得て、不足しそうな原料があれば代替原料での処方提案を行うなど、臨機応変な対応で原料供給に努めてきた。
――健康分野の取り組みも強化されています。
岩瀬 2022年には、当社が開発した茶花エキス配合錠剤サプリメント「茶っ花りサポート」が、機能性表示食品として受理された。
近年、茶花の含有成分や薬理活性が着目されており、機能性原料として開発を進めてきた。その結果、茶花に含まれるチャカサポニンに中性脂肪上昇抑制効果が認められた。今後も、茶花乾燥エキスをはじめとする機能性原料の販売や健康食品開発に取り組んでいく。
また、九州事業所敷地内では、きくらげの栽培を行っており、昨年9月から自社ECサイトで乾燥きくらげの販売を開始したほか、子ども食堂へ食材提供を行うなどの地域活動や、地元の特別支援学校の就労支援も行っている。きくらげに関する研究や拡販をすすめながら、地元住民の方々との交流を深め、雇用拡大にも貢献したい。
美容と健康は表裏一体であり、こうした健康分野の取り組み強化によって、今後は、化粧品分野と健康分野の相乗効果が期待できるだろう。
――今後についてお聞かせください。
岩瀬 年々高まるサステナブルニーズに応えるべく、原料の製造過程で出る廃棄物の活用をはじめ、様々な分野にアンテナを立て、お客様に喜んでいただけるような提案を考えている。
当社は海外7カ国に9つの拠点を持っており、その一つのタイでは、廃棄予定の未熟なドリアンを再利用した原料開発など、現地の大学研究室との連携も進めている。今後は、海外に拠点を持つ強みも活かしつつ、アップサイクルの取り組みを推進していきたいと考えている。
働き方改革にも力を注いでいる。社長就任以降、毎年社員一人一人との面談を継続している。また、社内でアンケートを実施して社員の悩みやニーズを引き出し解決していくなど、積極的にコミュニケーションを図ってきた。
社員一人一人が新たな価値を提供するクリエイターとして、小さな改善も含めた様々な提案を積極的に行っていけるよう、今後も働きやすい環境づくりに取り組んでいく方針だ。