カネボウ化粧品では、2013年に起きた自主回収問題を受け、白斑様症状を発症されたお客様への対応を進めるとともに、再発防止に向けた取り組みを推進している。
事業面では「KATE」が200億円を超えるグローバルブランドに成長するなど、今後のさらなる飛躍が期待されている。
また、ヘアエイジングケアブランド「リクイール」の動向も気になるところだ。カネボウらしい独自性を武器に「トータルビューティ」をどのように構築していくのか、夏坂真澄社長は、花王との一体化を見据えながら次のように戦略を語った。
化粧品の安全基準を改定
再発防止に向けた取り組みを推進
――自主回収問題への対応と、現在の状況をお聞かせ下さい。
夏坂 まずは、発症されたお客様、ご家族の方、多くの皆様にご迷惑とご心配をおかけしている事を心よりお詫び申し上げます。2014年11月30日現在、白斑様症状を確認した方は1万9382名、完治、ほぼ回復された方が9571名、和解合意された方が7987名です。同年6~8月に治療が長期化し、かつ広範囲にわたって白斑様症状を発症された約4500名のお客様を訪問しましたが、4割強のお客様に明らかな回復傾向がみられ、5割強の方に緩やかな回復傾向がみられました。
発症されたお客様には「お客さま対応室」の専任者約400名をはじめ、全社をあげて対応をさせていただいております。
治療の長期化が想定されるお客様にはご希望に応じて回復前に精神的慰謝料の一部のお支払いと、それまでの休業補償を清算しました。また、昨年11月には長期にわたって回復傾向が見られないお客様に対する補償として後遺症慰謝料相当の補償を実施すると発表しました。12月からお顔に大きく白斑様症状を発症され、発症時と比べて症状にあまり変化が見られないお客様からご案内を開始し、今年7月からは症状が残っていらっしゃる全てのお客様に順次ご案内をさせていただきます。
再発防止に向け、2014年4月より花王グループの化粧品安全基準を改定し、より厳しく、広範囲に安全性を確認するようにしました。また、「お客様の声聴き活動」も推進し、店頭にお客様のご意見やご要望をお聴きするためのハガキを設置するとともに、お客様が気軽に化粧品に関する相談が受けられる「お肌の相談室」も開設しました。お客様から寄せられたご意見・ご要望は全て確認し、改善内容を適宜、当社のホームページで公開しています。同時に、社員の声や情報をタイムリーに収集し、経営トップが参加する「品質向上検討会」で対策を講じるなど、社内の意識改革にも着手しました。
今後も信頼回復に向け、社員一丸となって対応にあたっていく所存です。