同年2月には、社内の企画展で春夏の新作商品を一気に紹介し、同社の会員顧客である小売店のオーナーから様々な意見を集め、より細かなニーズを拾った。さらに、夏に注目されがちな汗の悩みが、冬の通勤や就業中にもあることに気づき、商品化にこぎつけた。
これを基に、9月の「インターナショナル・ギフト・ショー」では、「満員電車の通勤で」「会議やプレゼンで」「外出や出張で」と、シーン別にコーディネートを紹介し、ブランドのコンセプトをわかりやすく訴求した。すると、百貨店や通販バイヤーなどの目に止まり、新たな販路開拓につながる出会いが生まれた。
「『OLの味方』というキャッチーなブランド名が目を引き足を止めるきっかけとなり、シーン別のご提案によって、バイヤーの共感を得ることができた。特に、デオドラントインナーは反響が高かった」(営業部担当者)
インナーとアウターをトータルコーディネートできるキャリア女性向けのアパレルブランドはあまりなかったため、バイヤー自身の興味や共感を得られたことが大きかったという。
展示会を機に新たな販路開拓
魅力にさらなる磨きをかける
「ギフト・ショー」を機に、30代のキャリア女性向けのアイテムが揃うネット通販サイトでの取り扱いがスタートしたほか、2018年3月には、都内百貨店で期間限定のPOP UPショップの展開が決まったという。
潜在ニーズの掘り起こしに成功した商品では、「くるっとキュロペチ」も挙げられる。
同商品は、ワイドパンツが女性のファッショントレンドとなっている中、お手洗いの際に裾が床に付く悩みを解決するアイテムだ。この商品も同社の女性社員の意見が参考になった。私服勤務が可能となった同社では、ワイドパンツを履く女性社員が増えたため、ワイドパンツ特有の悩みが顕在化した。
エンドユーザー向けの販促として、店舗のお客用トイレの個室に入った時に、ちょうど目に止まる位置に販促用ポスターを貼ったところ、瞬く間にヒットしたという。
「最近の小売店では、従業員の人数が限られている中、いかに効率的に接客し、お客様の心を捉えるかが課題だ。当社では、その効率化をサポートするために販促物を提供したり、パッケージで工夫したりする。今回の『OLの味方』は盾をモチーフにしたロゴ、ブティックなどの洋販店で展開しても雰囲気を損なわない黒をベースとしたパッケージ、書籍のように棚展開できる背面など、デザイン面もこだわり抜いた。接客なしでも、裏面を見ればどんな時に使え、どんな機能を持つのか一目でわかるように説明文を表記しているのも特長だ」(商品部担当者)
特に、パッケージの大きさは、担当者がコンビニのチョコレートなどの個分けスナック菓子が普段から女性の手のひらにも馴染んでいる大きさであることに気づき、商品にも取り入れた。これにより、あまりスペースを割けない小さな店舗でも取り扱えるようになったという。
2018年2月には、社内の企画展で新作商品も含めてアイテムを一挙に紹介し、店頭での見せ方の提案に注力する予定という。今後さらにニーズに肉迫し、新たな悩みを解決するアイテムの開発にも貪欲に取り組む方針だ。