2019年、資生堂ジャパン(杉山繁和社長)は杉山社長体制となって3年目を迎える。過去2年間、スピード感あふれる改革とその実行により、業績面では著しい成長を見せている。
また、マーケティング改革でも、目指すべき「強くて太いブランドづくり」に向けて着実に成長への階段を上がっている。
さらに、「ブランド」「売場」「専門店」の3者を一体化させたオーダーメイド型の店舗提案も、業界から反響を呼ぶとともに、早くも成果を収めている。
2018年を振り返って見えてきた成果や課題、2019年に向けての展開や取り組みについて、資生堂常務兼資生堂ジャパン代表取締役社長の杉山繁和氏に話を伺った。
国内は「戦略の徹底」に努め
2ケタ以上の成長を遂げる
――まずは昨年1年間を振り返っていただけますか。
杉山 昨年の当社の活動ですが、「戦略の徹底」ができた1年だったと感じています。正しい戦略を正しく実行した結果、売上としては日本事業の合計で前年に比べて2ケタ以上の成長を遂げることができる見込みです。
具体的な成果として、「ブランドの選択と集中」という点で、お客さまのリピート率が高く、利益率も高い肌3分野(スキンケア、ベースメイク、サンケア)への投資を昨年以上に優先的に実行し、成長させることができました。
研究開発や経験値という点においても当社の強みであるこの領域をお店さまと一緒に取り組むことで、お客さまの満足度を高めていくという戦略がより実行できた1年でした。特に、数量よりも金額の成長率が高いことから、お店さまの利益にも貢献させていただけたと思っています。
また、活動面においても、充実した年となりました。当社のBCがお店さまのカウンター内だけではなく、時にはお店さま了解のもと、店前に出て活動を展開した結果、メイクアップに比べて、ブランドスイッチや推奨販売が難しいこのカテゴリーにおいても、これまで出会えていなかった新たなお客さまとの出会いを通じて、新メンバーの獲得につながったことは大きな成果です。
もう1つの成果は、「お客さまとの出会いの架け橋であるブランドを戦略的に提案していくこと」ができたことです。
中でも、特に結果につながったのが「SHISEIDO」です。
百貨店チャネルから専門店チャネルに取り扱いが広がったことは、1つの成果ではありますが、それだけではありません。我々の基本スタンスは、多くのお客さまに「SHISEIDO」と出会っていただける環境と機会をつくることであり、それを着実に推進できたことが、成果につながったと確信しています。
まさに、「お客さま(生活者)があらゆる生活場面で好きな時に、好きなように、ブランドを通じた化粧体験を楽しめることを実現する」という資生堂ジャパンのVISIONそのものを具現化できたということです。