花王、紙おむつの腹部しめつけが乳幼児の睡眠に影響すると報告

粧業日報 2022年8月15日号 5ページ

2022年8月15日 11:00

粧業日報日用品メーカー

カンタンに言うと

しめつけられないことにより睡眠の質が向上

　花王は、大阪大学大学院連合小児発達学研究科（谷池雅子教授、毛利育子准教授）と共同で、紙おむつによる腹部へのしめつけが乳幼児の睡眠にどのような影響を与えるのかを検討した。

　その結果、しめつけ力が小さい紙おむつを着用すると、眠っている間の活動量が少なくなり、心拍数が低くなることがわかった。さらに、中途覚醒回数が少なくなる傾向にあり、起床時刻が早くなることもわかった。しめつけられないことにより睡眠の質が向上し、深い睡眠が増加した可能性があると考えられる。

　今回の研究成果は、第69回日本小児保健協会学術集会（2022年6月24～26日、三重県、オンラインハイブリッド開催）にて発表した。

　これらの知見は、今後の乳幼児の睡眠の基礎研究、心地よく睡眠できる紙おむつ開発への一助になることから、乳幼児の睡眠の質を高め、健やかな成長に貢献するような、よりよい睡眠をもたらす紙おむつの開発を進めていく。

　同社は、ベビー用紙おむつ開発のための基礎研究として、乳幼児をよく理解するためにさまざまな視点から研究に取り組んできた。そのうちの1つとして、乳幼児の睡眠の研究を行っているが、乳幼児の睡眠評価は難しく、病気のない正常乳幼児の睡眠研究事例は少ないという。今回は、乳幼児の自宅における普段通りの睡眠を生理測定する検討を行った。

　同社では、昼夜の覚醒・睡眠のリズムが確立してきた生後6～12カ月の乳幼児14名を対象とし、養育者に生理測定を依頼し自宅で試験を実施した。

　対象者には、腹部へのしめつけ力が異なるパンツ型紙おむつを、それぞれ平日の夜に5日間着用してもらい、そのうち３日間の睡眠中の様子を赤外線カメラで動画撮影し、活動量計と心拍数計を装着してもらって測定した。その他、睡眠日誌、事前・事後アンケートを養育者に記入してもらった。

　具体的には、睡眠日誌、撮影データから体調不良が確認された日は解析から除外し、最終的に11名を評価対象とした。測定したデータ、日誌を解析し、睡眠中の活動量や心拍数、中途覚醒回数や起床時刻などを評価した。

　睡眠への影響を評価した結果、しめつけ力が小さい紙おむつAを着用したケースでは、睡眠中の1時間あたりの活動量が少なくなり、入眠後3時間の最頻心拍数が低くなることもわかった。子どもの睡眠中の活動量は睡眠が深いほど少なくなるため、深い睡眠が増加した可能性が考えられる。

　また、入眠直後のノンレム睡眠時と推定される期間の最頻心拍数が低いことは、交感神経系の活動が低いことを示しており、睡眠の質が良い状態であると考えられる。

　さらに、しめつけ力が小さい紙おむつAを着用したケーズでは、寝かしつけにかかる時間と中途覚醒回数が減少する傾向にあり、起床時刻が早くなることがわかった。しっかりとした睡眠をとることができたため、起床時間が早くなった可能性があると考えられる。