【週刊粧業2020年6月29日4面にて掲載】
日本でも徐々に日常生活が戻りつつあるが、いまだ感染そのものは収束してはいない様子である。「withコロナ」の時代、何が必要とされるのか。それを知るためにも、今、中国の新型コロナ流行期のニーズを振り返ってみよう。
今回、トレンドExpressでは自社のクチコミデータであるトレンドViewerから「買いたい」日本商品クチコミランキングのデータを抽出し、その中でも人気の「コスメ・美容」カテゴリのクチコミ件数を2019年Q1と比較してみた。
19年Q1のクチコミ総数は3万件以上あったが、20年Q1では約1万9000件余りと、2/3程度まで減少している。
これはやはり新型コロナウイルスの影響下で、必要なものや買わなければならないものを優先するため、感染予防や食料品などの身の回りのものに意識が向いた結果、いわゆる嗜好品に属する「海外商品」である日本商品のクチコミが減少したことが考えられる。
では、こうした中で人気となった商品にはどういったものがあったのだろうか?
1位は予想通りというべきか、「ユニ・チャーム超立体マスク」となった。スキマを作らず風邪のウイルスや花粉などをシャットアウトできる立体構造で息苦しさも感じにくいという高い機能性が注目された。これまで同商品は「子供用」が下位ながらランキングしていたが、大人向けが登場したのは初である。
また4位には大幸薬品の「クレベリン ゲル」がランクインした。日本でも一時期品薄となるほど需要が高まったが、2位の台所用除菌製品であるアース製薬の「らくハピ アルコール除菌EX」とともに、中国でもウイルス除去ニーズの影響を受けて人気が拡大した。
興味深いのは、一見すると新型コロナと関係のない商品のクチコミ件数が昨年以上に増加しているところだ。
3位の「サンテボーティエ」(目薬)、5位の「リフターナ コンセントレートマスク」(フェイスマスク)は、新型コロナウイルスとは何ら関係がないように見える。
ただ、中国の消費者にこのデータを見せながら少し話を聞くと、「深夜までスマホで動画を見ていて目が疲れている」「マスク着用による肌荒れが気になっている」「外出していないので、肌ケアの手抜きとしてフェイスマスクを使う」といったコメントを得ることができた。言われてみれば「なるほど」と思えなくもない。
巣ごもり生活では動画サイトや抖音などのショートムービーアプリの利用度が高まったというし、また現在でも夏のマスク着用による肌荒れ対策のためのプロモーションがWeibo上などで確認できる。
また「DHC メリロート」は巣ごもり生活の結果、体重が気になり始めた女性が増えたこと、また「タイガー魔法瓶」は子供や自分用にお湯を飲む(一部のデマで、のどをお湯で熱気消毒することによりコロナウイルスが防げるというものもあった)ために思い立って欲しくなった消費者が増えているようである。
現在、北京市では第2波とも思われる感染が発生し、警戒態勢に入っている。「アフターコロナ」とはいうものの、世界は完全には脱却できていない状況が続いている。今回ランクインした商品の需要も、当面の間は続くと考えられる。