第27回 「美と健康で最大グループ形成」(ココカラファイン 塚本厚志社長)

【週刊粧業2020年7月27日号5面にて掲載】

 「ココカラファイン」と「マツモトキヨシホールディングス」は2020年1月、当初計画の通り経営統合した。これにより、美と健康を中心とする日本最大のドラッグストアグループが誕生した。

 ココカラファインの塚本厚志社長は現在57歳と若い。彼は、同社の前身である「セイジョー」の一般社員からのたたき上げで、37歳で取締役営業部長、40歳で社長に就任するというスピード出世ぶりだった。

 2008年には「セガミメディクス」と経営統合して「ココカラファインホールディングス」を設立し、社長に就任している。

 さらに2010年に「ジップドラッグ」と「ライフォート」を傘下に持つ「アライドハーツ・ホールディングス」と経営統合して「ココカラファイン」に商号を変更しても、やはり社長は塚本氏だった。

 このようにココカラファインの歴史は経営統合の連続である。それだけに最大の経営課題は、店舗形態の整理統合だった。

 既存店を、都市型、商店街型、住宅地型、郊外型の4つのクラスターに分け、それぞれにプロトタイプストアを設定して、それをモデルとした新しいMDを導入していった。

 「2020年3月期までの中期計画の最も重要な課題は既存店の改装です。毎年100店規模の改装を連続させると同時に、不採算店舗の閉鎖を積極的に推進しています。出店は、2020年3月期で33店、閉鎖は50店を計画していますが、改装がほぼ一巡すれば、徐々に店舗は純増していきます」

 ココカラファインの特徴は、カウンセリングに重点を置いた接客販売に力を入れていることである。ココロとカラダを元気にする「ライフスタイル提案ストア」がめざす方向だ。ココカラファインの社名、店名もこれに由来する。

 もう一つの特徴は、調剤を重点強化していることである。調剤専門薬局の展開はもちろん、調剤を併設した「ドラッグ&調剤」の展開も積極的に進めている。このため調剤の売上構成比は15%近い水準を維持している。なお同社では、「健康サポート薬局」を推進するため、「かかりつけ薬剤師」の育成に意欲的に取り組んでいる。

 さらに同社は、訪問看護などの在宅看護サービスから、有料老人ホームなどの居住介護サービスまでカバーする介護事業にも取り組んでいる。このため介護専門企業も買収している。

 このほか2018年には、「バローホールディングス」と業務提携し、同グループのスポーツクラブを併設したドラッグストアの展開にも乗り出している。なおバローの田代正美会長兼社長は、塚本社長の経営姿勢を高く評価している一人だ。

 「デジタル戦略では、Webサイトを統合して、各店の商品情報、在庫情報を携帯端末で閲覧、確認できるようにしています。またポイントカード機能付きのアプリもスタートさせており、120万人の会員獲得を目指しています」

 なおマツモトキヨシは、こうしたデジタル戦略で業界をリードする存在である。両社のこうしたノウハウを統合した新たな戦略も打ち出すことにしている。

 (次回は、バーテルドラッグ ゲオルギー D.バーテル前社長兼CEO)
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加藤英夫

週刊粧業 顧問(週刊粧業 流通ジャーナル 前会長)

私が週刊粧業の子会社「流通ジャーナル」に入社したのは今からちょうど50年前の昭和44年(1969年)6月だった。この間、国内はもちろんアメリカ・ヨーロッパ・アジアにも頻繁に足を運び、経営トップと膝を交えて語り合ってきた。これまでの国内外の小売経営トップとの交流の中で私なりに感じた彼らの経営に対する真摯な考え方やその生きざまを連載の形で紹介したい。

https://www.syogyo.jp/

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