三葵化学工業(本社=愛知県岡崎市)は、今年10月1日に迎える創業50周年を期に、社名を「三葵コーポレーション」へ変更する。
ファンデーション用のコンパクトケースの企画・製造から創業した同社は、顧客の多様なニーズへの対応を目的に、リップやアイメークなどの容器の開発・製造へと事業を拡大し、メークアップ全般の容器に対応できる自社開発シリーズを展開している。
また並行して、クリーム容器や樹脂ボトルなどスキンケア向け容器の開発・製造にも取り組んでおり、顧客の多種多様な要望に応えられる体制を構築している。
さらに同社は今年、次なる100周年に向けた新展開として、海外へ進出する。秋にタイに100%出資の製造工場を竣工して、自社容器の海外生産を開始する予定だ。
これにより、国内容器と同じ型のシリーズが、より低価格で提供できるようになる。展示会では、グローバルブランド「SANKI」へとはばたく同社のオリジナル容器シリーズを、一足先に直に見て触れて感じることができる。
コンパクトなどメーク容器がズラリ、ボトル容器の開発力もアピール
同社は、「肌美人とう・つ・わ」をテーマにブースを設計した。伊藤博行社長が「当社のイメージを形にすることができたと思う」と語る自信作のブースは、化粧品容器メーカーとしての「美への対峙」を表現している。
壁面には、豊富に取り揃える開発容器からイメージしたという複数の「肌美人」のデザイン画を配置して、各デザイン画の傍に、適当なコンセプト容器を並べる。いわば「肌美人は容器デザインから」というメッセージ性を込めたブースから、SANKIブランドの世界観を余すことなく感じることができる。
中央には、主力のコンパクトケースを中心に、ユニーク性の高いオリジナル容器を並べ、新規顧客はもちろん、既存顧客にとってもニュース性のあるコーナーに仕上げた。
同社が創業当初から開発に取り組んでいるメークアップシリーズは現在、№20まで拡大している。多種多様な形やデザインからブランドコンセプトに合った容器が選べるとあって、これまでも大手・中堅メーカーの主軸ブランドからバラエティショップ専売品などのコンパクトとして採用されてきた。
最終製品ではないため、あまり知られていないかもしれないが、近年のコンパクトケースの主流である「シャープ性のある角皿タイプの型」は、同社の№6シリーズが起源としてある。最近でも、1ブランドで100万個以上を製造しているヒット商品のケースがあるほどで、そのトレンドはもうしばらく続くとみてよいだろう。
「自社開発・製造の強みは、顧客の細かな要望にも応えられること。企画段階からのサポートや、開発容器に、アレンジを加えてオリジナル容器にすることもできる。今後も『今よりもさらに進化したと感じられる容器の提案』を目指して、自社金型の開発に力を注いでいく。開発中の№21の新シリーズも、近いうちに紹介していきたい」(伊藤社長)
展示会では、リップやアイ関連の容器も含め、各シリーズから新製品を紹介し、展示容器の一つをサンプルとして用意しているという。ブースを訪れ、秋冬の新商品企画のツールとして活用してもらいたいところだ。
また同社は、このメークの開発力を活かして、スキンケア関連のオリジナル容器の開発を行っているのも特徴の一つで、現在、シリーズ№7まで展開している。スキンケア容器第一弾として展開してきたジャータイプのクリーム容器に加え、約15年前からボトル容器の開発・製造にも積極的に取り組んでいる。メークアップからスキンケアまで顧客の多様なニーズに応えられる幅広い提案で、採用実績を増やしている。
「ボトル容器は現在、開発に力を入れている容器の一つ。当時は美容液ニーズの拡大と、容器の使い勝手や衛生上の問題から、ボトル市場は拡大していくと捉えて開始した。実際、世界的にもボトル容器を採用した製品が増えている。無添加や自然派といった業界のトレンドも、ボトル容器ニーズの拡大要因の一つになっており、今後さらなる拡がりに期待している」(伊藤社長)
「SANKI」をグローバルブランドへ、秋からタイで自社容器の生産開始
伊藤社長は、「今後の拡がり」という点において各メーカーの「グローバル展開」に着目している。今秋、タイに竣工予定の製造工場で、低価格・高品質のオリジナル容器を提供していく方針だ。
「現在は、台湾の容器メーカーと提携し、金型の設計・製造に取り組み、低コストを求める顧客に対応しているが、グローバル展開を本格化するには、よりコストパフォーマンスの高い製品が求められる。自社オリジナル容器の海外生産を開始して、グローバルメーカーにも積極的に提案していきたい」(伊藤社長)
まずはアジア地域での展開を見据えており、将来的には欧米まで広げていく予定だという。日本では現在、四角い型が主流だが、海外のある地域では丸い型のコンパクトケースの人気が高まっている報告もあるという。既存の金型は、世界の国や地域の化粧品のトレンドを知るツールにもなりそうだ。
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この記事は週刊粧業 掲載
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