化粧品OEM国内最大手の日本コルマー、グローバル対応の「ワンストップトータルサービス」を育成・強化

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カンタンに言うと

化粧品OEM国内最大手の日本コルマー、グローバル対応の「ワンストップトータルサービス」を育成・強化

 国内最大手の化粧品・医薬部外品OEMメーカーである日本コルマーは、中身の処方開発を含めた企画設計から生産、製造後のフォローアップまで一貫して行える「ワンストップトータルサービス」を国内外の化粧品メーカーに提供している。

 国内市場が縮小傾向にありながら、創業100周年を迎えた2012年3月期は、目標に掲げてきた売上高200億円の大台を突破し、8期連続の増収増益を達成した。

 神崎友次社長は「地道な活動に尽きるが、事業計画通りにいかなかった場合を想定し、落ち込んだ分を他のところで補填できるバックアップ体制を築いてきたことが実績に結びついている。リーマンショック、東北大震災が起きた年度も増収増益を達成できたことは当社にとって大きなプラスになった」と振り返る。

 2013年3月期は5%増の210億円を目標に活動を開始しているが、神崎社長は既に、売上高250億円、300億円への育成ビジョンを描き始めている。

独自のマーケティングを付加価値に
国内外5工場で多品種製造

 同社が推進している「バックアップ体制」とは、外資系メーカーや百貨店、訪販、通販など販売チャネルの異なる国内メーカーをバランスよく顧客に持つことにより、受注する品目や販売チャネルをコントロールし、リスクを分散させる体制のことで、顧客の業績に左右されない安定的な売上げを確保できる土台となっている。

 また、柏原(大阪府)、八尾(同)、出雲(島根県)の3拠点に工場を構え、スキンケアからメークアップ、ヘア&ボディケア、オーラル製品、男性化粧品など多品種・多品目を3工場で安定供給できる生産体制を敷き、カテゴリー別の流行り廃りに左右されない生産環境を整えている。現在、出雲工場を増築しており、来春の稼働を予定している。完成すれば同社最大の生産能力を持つ工場になる。

 各工場内に、素材研究や処方開発を行う研究所を設け、顧客の要望への対応力とその速度を高めていることも、好調を下支えしている。その一つ、柏原研究所内には、マーケティング部署を設置し、国内外の市場やトレンドなどの情報の収集・分析も行っている。

 また、米国コルマー社と業務提携をしているほか、国内と同様に多品種の製造を行える生産工場を中国や韓国にも持ち、国内だけでなく、海外の市場やトレンドを踏まえた市場分析から新商品の企画を提案に生かしている。

 今後はさらに発展させ、「国内外で培った生産のノウハウや情報量を活かし、マーケティングプランまでトータルサービスに組み込めるような体制を築いていく」(神崎社長)という。

 展示会では、そのグローバルに提供している「ワンストップトータルサービス」を紹介し、サポートできる領域とその質への理解を深めていく。また、新商品の企画開発に役立つ開発素材のサンプルも用意している。

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業界発展に向け水平分業型の
オープンイノベーションを啓発

 神崎社長は、昨今の国内家電メーカー業界の例を他山の石とする意識を持つことが重要だと語る。例えば、国内家電メーカーのシャープがこのほど資本提携した台湾企業の鴻海(ホンハイ)精密工業はEMSメーカーであり、化粧品業界では同社のようなOEMにあたる。

 「日本はこれまで新製品開発の自前主義、つまり『クローズドイノベーション』を推進することで付加価値を見出し、成長してきた。しかし、加速するグローバル社会を迎えた今、それでは時間やコストがかかりすぎ、他国の企業に遅れをとっている。近年、各業界で韓国、台湾、中国などアジア企業の勢いに押されている要因であり、化粧品業界も例外ではない。(韓国を発祥にもつ)『BBクリーム』がそれを象徴している。今や欧米の大手外資系メーカーもBBクリームを販売しており、世界の化粧品市場において新たなカテゴリーを創造・構築した」(神崎社長)

 そうした世界情勢を踏まえ、神崎社長は、昨年より業界全体に向け、垂直統合型ではなく、水平分業型の「オープンイノベーション」化を推奨し、啓蒙を行っている。

 オープンイノベーションとは、他社の優れた技術や自社の開発力を相互に取り入れ、研究開発の効率化や新規性の高い製品のスピード開発につなげることを指す。グローバルな競争環境への対応を目的に、先述の電子・家電業界や自動車、医薬品などの業界では進んでいるという。

 「国内の化粧品市場はリーマンショックの影響を受けた2009年以降、現在に至るまで回復できていないのが現実。今後は少子高齢化により状況はますます悪化していくと考えられる。そのため、本舗メーカーの工場生産量は低下し、収益は今後も圧迫されて、製品やサービス、工場の整理統合のためにアウトソーシングする必要がある」(神崎社長)

 実際、本舗メーカーがアウトソーシングするブランド・製品の増加は、同社の業績にも反映されている。

 その一方で、海外OEMの日本市場への進出もあり得るとの見解も示し、国内においてもコストダウン化など海外OEMを意識して国際競争力をつけていかねばならないと提言する。

 そして中国など海外の成長マーケットへ進出する国内メーカーが増えることは、OEM企業もまた、海外進出をしなければ経営の維持が難しくなることを意味する。同社は既に中国、韓国に工場を有しているが、「メーカーの進出先などに合わせて、他の国や地域への工場建設も視野に入れており、グローバル対応力を強化していく」という。

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