東洋ビューティ 岩瀬史明社長に聞く、今後の成長戦略

粧業日報 2020年8月4日号 1ページ

カンタンに言うと

  • 「新たな創業期」に位置づけ始動、「世界最良のODM企業」を目指す
  • 創業者の精神を継承し、未来創造への基盤整備を推進
  • 「ODM」の付加価値を追求し、「東洋ビューティ品質」を世界へ
  • 社員が誇れる企業、地域から愛される企業を目指して
東洋ビューティ 岩瀬史明社長に聞く、今後の成長戦略


  「ODM」の付加価値を追求し
「東洋ビューティ品質」を世界へ

 ――新5カ年計画の骨格についてお聞かせください。

 岩瀬 新たな経営ビジョンとして掲げた「世界最良のODM企業となる」ための基盤づくりを進める。

 当社が1975年にOEM専業へと事業転換して成長を続けてこられたのは、安心・安全な製品品質を礎にしてきたからである。ODM化に向けて本格的に取り組み始めて10年以上になるが、安全・高品質を最重視して推進している。

 近年、「ODM」という言葉が浸透し、その考え方も多様化している。当社も今回を機に「ODMとは」と問いかけ、追求していくべきODMの形を考えていった。

 「ODM」は、製品の企画設計から開発、製造までのトータルプロデュース業になるが、当社はそこに、相手先の期待値を上回ることによる「感動の提供」をプラスしたODMを目指していく。

 期待を超えてきたという感動が、相手先のさらなる創作意欲を掻き立て、また当社と一緒に取り組んでいただけることになる。そうした相手先を増やすことが、「世界最良」への道を拓くと信じ、取り組んでいく。

 ――「世界最良」と掲げる以上、海外事業の育成も欠かせません。

 岩瀬 化粧品ODMとしての海外ビジネスは、現地に工場を建設し、ローカライズすることも戦略の一つではあるが、国内製造での最良品質で考えている。組織改革では新たに「海外営業部」として部門化した。

 ODM案件は「東洋ビューティ品質」への評価であり、国内の研究員が開発し、国内の工場で作ったものを提供する。海外市場の開拓・進行もそこにはこだわって挑戦していきたい。

 「東洋ビューティで化粧品を作りたい」。そう思っていただける企業を海外にも広げていく。

 当社は、最近10年間で大きく業績を伸ばし、成長期を迎えている。

 振り返ると、2011年4月期(2010年度)に売上高100億円の達成がみえていた。

 同年3月に東日本大震災により宇都宮(第一・第二)工場・研究所(栃木県)が被災した影響で、わずかに大台には届かなかったが、それから9年後の前期(20年4月期)売上高は、10年度比で約2.5倍の255億円、社員数にいたっては4倍強の880名に増えている。

 化粧品業界を取り巻く環境の変化とともに、ODM/OEM業界全体が成長拡大し、当社もその流れに乗り成長期を迎えることができた。

 特に前中計期間では急成長となり、企業の規模感に合った人事制度や組織体制の構造改革の必要性が重要課題となった。

 だが、成長期というのは、いたるところに「成長痛」のようなものが発症する。会社も社員も悲鳴をあげている状態でもあった。

 前中計は化粧品のインバウンド消費が大きく伸長した時期でもあった。特に2017~18年にかけて、上野工場(三重県)と宇都宮工場は、社員の残業時間が増え、製造に追われる状況が続いた。

 そうした製造環境では、小さなミスや失敗が増え、不良率も上がってしまう。

 環境改善のために、早期に新しい工場をつくり、生産移管を進め、生産バランスの適正化を図る必要があった。

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