天真堂、従来比約7倍の大型研究施設を都内にオープン

粧業日報 2019年10月8日号 2ページ

カンタンに言うと

  • 児玉社長、都内駅近では最大級の規模であることをアピール
天真堂、従来比約7倍の大型研究施設を都内にオープン
 薬用化粧品・機能性表示食品OEMメーカーの天真堂は9月1日、従来比で約6.8倍の広さとなる500㎡の研究施設「TEN-LABO」をリニューアルオープンした。

 今後、処方開発は2025年をめどに現在の2名から8名、原料開発は年内に2名から6名に増員し、研究開発力の向上に努めていく。

 TEN-LABOは2016年6月、本社に併設していた物流倉庫の一角に73㎡の広さで開設。商品の処方開発や安全性・機能性評価などを行う研究所としてオープンし、クライアント企業を支援してきた。

 開設から3年余りが経過し、クライアント企業の事業成長はもとより、NB商品の開発や中国進出等自社事業の拡大により、一層の開発力強化が求められるようになったため、今回、施設規模を拡大し、研究設備を拡充する形で大幅にリニューアルすることになった。

「営業力」「開発力」「製造力」の研鑽へ

 9月26日に行われたメディア向け内覧会で児玉和之社長は、研究施設リニューアルの狙いについて「都内で駅から5分以内の好立地に研究所を構える化粧品OEMメーカーとしては最大級の規模となり、大幅に研究設備も拡充した。研究人員の増強も進めていく。研究設備では特に評価系で大手本舗メーカーに匹敵する最新鋭の機材を取り揃えており、売れる商品をつくる体制を整えた。今後はより一層スピーディーかつ強力な事業の立ち上げ支援を行っていく」と述べた。

 特に、同業他社との差別化を図るうえでは、「営業力」「開発力」「製造力」を三位一体で相乗的に高めていくことが重要との認識を示し、「ここ数年で工場を買収し、製造業許可を取得するなど製造力を高めてきた。研究所を大幅に拡張し、研究員を増やして開発力を高めつつ、営業マンも増員することにより、事業のさらなる拡大を図っていく。また、今後は日本・中国のEC・リアル店舗(4C)を融合して高いパフォーマンスのもと販売を進め、その流れをASEAN諸国にも広げていく『4C+(ヨンシープラス)』戦略を推進することで、取引先の販路拡大を強力に支援していく。この2つの取り組みを推進していくことにより、取引先とともに成長していきたい」(児玉社長)と今後の方向性を語った。

中国進出に欠かせない研究施設を整備

 新研究施設は、通路を挟んで「化粧品開発・分析エリア」と「食品開発エリア」に分かれており、今回のリニューアルではこれまでの自社研究施設にはなかった食品専用の「食品開発エリア」を新たに確保。これにより独自原料・処方の開発を加速していく。

 「化粧品開発・分析エリア」にも、これまでスペースの兼ね合いで導入できなかった機材を多数導入した。新たな化粧品処方の開発や各種評価試験の分析等(安定性評価・安全性評価・成分分析)もこのエリアで行う。10月には真空乳化機も導入し、1000ロット以下の生産が可能になる。

 温度・湿度が一定に保たれた肌検査室には、肌の水分・油分・粘弾性などを測定する「キュートメーター」や、皮膚表面を画像化しシワやシミを測定解析する「VISIA」が取り揃えられており、安定した条件下において化粧品・医薬部外品で求められる有効性の効果実証評価を高精度で行える体制が整っている。

 なお、測定データは、購入者向けの同梱物や営業資料のほか、クライアント企業のマーケティング支援にも活用できることから、「マーケティングラボ」と位置づけて展開していく。

 保管庫は、化粧品のバルク・容器の安定性を検査するために欠かせない施設で、マイナス20℃~プラス50℃の温度設定と、安定した湿度設定が可能な「インキュベーター」という機械を温度別に設置している。未開封の状態で3年間品質を保持できるか、過酷な環境でも耐えられるか、バルクだけでなく容器も変質しないかなどを調べる。特に、中国等海外での流通は日本より過酷な環境であることが多いため、「この安定性を計る過程は重要になる」(同社)という。

 クリーンルームは、細菌・塵埃(じんあい)の侵入を防ぐ設計がなされており、微生物試験や化粧品開発エリアで作ったバルクの小ロット充填をここで行うことができる。中国のNMPA申請の際には20~30程度の小ロットを提出する必要があり、社内で充填できることで受理までのタイムロス低減につなげていく。
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